精霊魔法と学園LOVE.STORY Ⅳ

〜王都への道〜

第二話 転校生

第二話 〜転校生〜

俺は教室の外で待たされていた。
すると先生から声がかかる。

先生
じゃ、入っておいで!

アゼル
はい。

先生
今日から新しい友達がきましたー!
みんな仲良くしてあげてね!

アゼル
アゼルです。
えーと、よろしくです。

男子生徒A
なんかサッカーみたいな顔してるよな。

男子生徒B
いやいや、バスケだろ?

女子生徒A
えー、やっぱり爽やかテニス部でしょ!?

先生
静かに!
それじゃあ、アゼルちゃんは
ミストさんの横に座ってもらいましょう。

アゼル
ミスト!?
同じクラスだったのか…

改めて辺りを見渡すと、
ミストと先程のレイナって子がいた。

アゼル
よう、同じクラスだったんだな
よろしくな!

ミスト
うん、よろしくね!

レイナ
私はアゼルの隣で嬉しいよ!

アゼル
あ、あぁ、そうかい

先生
それでは授業を始めますね。
あ、アゼルちゃんはミストさんか
レイナさんに見せてもらってねー。

アゼル
んー、どっちに見せてもらおうか。

そして俺は考えた。

やっぱりミストかな。
最初に出会って親しいのはミストだからな。

アゼル
ミスト。
教科書みせてもらってもいいか?

ミスト
いいよ!
ちょっと机寄せよう?

アゼル
すまないな。

俺はミストの机に少し近づける。
なんかこうやると、小学生のときにあった
机を引っ付ける形になっているではないか。

ミスト
どうしたんですか?

アゼル
あ、いや、
何でもないよ!

ミスト
???

俺はごまかすと、ミストは首をかしげて
不思議そうな顔をした。
そして先生から当てられる。

先生
次、アゼルちゃん。
野菜などの成長を早くする魔法はなんでしょう?

これは俺の得意分野で、
先生がおまけとして
俺に答えを求めているのだろう。

アゼル
はい。精霊魔法です。
誰でもできるわけではなく、
1000万人に1人という確率になっています。

先生
よくできましたー!
アゼルちゃん、精霊魔法できますよね?


そう、俺の特殊な力。
精霊魔法により
作物などの成長を早くし、
収穫できる数も増やせるという魔法。
この力のおかげで、俺の家には小さな畑がある。

アゼル
できますけど、
あまり外では使ってはいけない約束なので…。

男子生徒A
ほんとにできるのかよ?

男子生徒D
嘘なんじゃね?

女子生徒C
6限目は農業だったよね?

男子生徒B
じゃあみせてもらおうぜ!

アゼル
おいおい…。
人の話を聞いてたのか?

先生
一回だけなら大丈夫ですよ?

アゼル
先生まで…。

そして6限目を迎えた。
校舎を出て、5分ほど歩いた場所に
大きな畑がある。
そこに並んで野菜の世話をするはずだが。

何故か俺は強制的にみんなの前に立たされる。

やはりしないといけないのか?


先生
じゃあ、アゼルちゃん。
お願いします!

ミスト
大丈夫かな?アゼルちゃん。

レイナ
大丈夫っしょ!
多分。


やらなきゃならないとこまで来たので。
いつものように精霊魔法を唱える。

アゼル
大地に力を…。
精霊様、力をお貸しください。

すると俺の体は光輝き、
精霊魔法が発動する。

男子生徒A
うお!?

男子生徒B
まぶしい…!

ミスト
わぁー!

レイナ
す、すごい!


俺の精霊魔法の力でみるみるうちに
周りの作物が育っていく。

そして、あっという間に野菜ができたのだ。

男子生徒C
まじで…できやがった…。

女子生徒E
ほ、惚れちゃいそ…

レイナ
すごいよね、アゼルちゃん。

ミスト
うん…。

先生
す、すごい!
これが精霊魔法…。
アゼルちゃん!

アゼル
はい?

先生
家に来て、野菜を育てて、
私の家計を助け…

アゼル
嫌です。
これ結構体力使いますからね?

先生
ケチ。
じゃあ、みんな!
今日は収穫しますよー!

クラスの皆
はーい!


はぁ。
先生は意味わからないので放置。
俺は辺りを見渡してると
いつの間にか横にミストがいた。

ミスト
アゼルちゃん。
もしよかったら一緒に収穫しない?

アゼル
おう、いいよ!

そして俺はミストと一緒に収穫を楽しむのだった。

……。


???
見ました?
こないだの少年ですよ。

理事長
精霊魔法…。
興味深いな。

???
奴を研究所に連れ込み、
精霊魔法を誰でも扱えるようにすれば…
金儲けできますぜ?

理事長
お前にしてはいい話だな。
だが、あいつがすんなりと来ると思うか?

???
いえ…。あ、まさか!

理事長
ミストという女を力づくでさらい、
研究所に奴をおびきよせる。
それなら確実だろう。

???
さすがですぜ。
そして奴を捕まえ、研究材料にし…。

理事長
調子に乗るな。
ミスをしたらお前の命がないからな。

???
はっ!りょうかいです!

…………。



そして放課後。


アゼル
帰るにしても、
一人じゃ寂しいよな。

辺りを見渡す。
ほとんどの生徒が帰っていた。
その中で一人だけ
ノートとにらめっこしている子がいた。

アゼル
なにしてるの?

ミスト
うーんうーん、
こうでもなくて…。

アゼル
ミスト?

ミスト
でもこちらにしたら形が違うし…。

アゼル
おーい、ミストさんやー。

ミスト
はっ!ごめんなさい!
アゼルちゃんがいるとは…。

アゼル
とりあえずもう帰ろうぜ?

ミスト
あ、うん!
その、一緒にいいかな?

アゼル
いいぜ、俺もそのつもりだったんだ。

ミスト
ありがと!


するとミストは軽くスキップしながら
こちらにくるっと周り、笑いかける。

ミスト
さぁ、帰ろ?

アゼル
あぁ、帰ろうか。


…………。



理事長
おいかけろ。
そして、女が一人になったら
捕まえろ。

???
はっ!

理事長
万が一、奴が家まで送るようなことがあれば
そのときはぼこっていい。
お前の力なら大丈夫だろう。

???
わかりました。
では。

理事長
ふ…はっはっは!
やっと手に入れられる…
大金をな…!



ーアゼルの家の前ー

ミスト
それじゃあ、私はここで!

アゼル
あ、そうか。
気をつけてな?


…。いや、待てよ。
何だかさっきからつけられてる気がする。

アゼル
ミストー。
家まで送るよ。

ミスト
え、そんな悪いよ…。

アゼル
実を言うと、
なんだかつけられている気がするんだ。

ミスト
え!?
本当??

アゼル
あぁ、だから1人じゃ危険だ。

ミスト
あ、ありがとうね?

アゼル
それじゃあいこっか?

と、歩出したと同時に背後に気配を感じる。

アゼル
危ない!

ミスト
きゃっ…!

瞬時にミストを抱き寄せる。
後ろを確認すると、
スーツ姿のおっさんが拳を振りかざした後だった。

???
ちっ、外したか。

アゼル
誰だ、おっさん!

おっさん
俺はお前の通う高校の校長だ。

アゼル
な、なに!?

校長
ふん。さてと、
痛い目に合いたくなければ
その女をよこせ。

ミスト
え!私!?

アゼル
何をするつもりだ!
ミストは渡さないぞ!

このおっさんは一体何をしようというのか。
とにかく、ミストを守らないと…!
と、次の瞬間。
おっさんの拳が目の前まできていた。

アゼル
くっ…!

俺は何とか避けたが、
かすり傷がある。

かすり傷…?
よく目をこらしておっさんの手を見てみると、
握っている拳の中にナイフみたいなものが見えた。


ミスト
アゼルちゃん!
逃げよう!

アゼル
先に逃げるんだ!
俺は時間稼ぎをするから早くいけ!

ミスト
……。

そうだ。
女の子を先に逃がさないと、
結局は追いつかれる。

校長
させねぇよ!

校長は俺に向かって飛びけりをしてきた!

しかしアゼルは軽く避ける!

アゼル
そんなんじゃ当たらねぇよ!
なっ!

すると、一瞬にして俺は宙に飛ばされていた。
よって、下に叩きつけられる。

アゼル
うっ…。

校長
残念だったな。
俺は武道の達人だ。
勝てるわけがないだろう?

アゼル
ミスト…早く逃げてくれ…!

ミスト
だ、だめ…!
アゼルちゃんをほっていけないよ…。

校長
それじゃあその女は貰っていくぜ。


動けよ…俺の体…!
今動かないと…どうするんだよ。

ミスト
いやっ、はなして!

校長
じゃあな。ふふ…ふっはっは!

アゼル
ちっ…!
くそったれ!

ミストはおっさんの車に連れ込まれ、
そのまま走り去っていく。

アゼル
くっ…ダメージがでかいな…。

俺は意識を失ってしまった。

…。

夢の中。

???
貴方は大切な人を助けたいですか?

アゼル
ん、おう…そりゃもちろん…。

???
なら、学園の二階の蔓草の扉に向かいなさい。
だけど、1人じゃだめ。

アゼル
な、なぜだ…。

???
さっきと同じような目に合いますよ。

アゼル
俺は…一体…。
んん…。

………。


???
ねぇ…おきてぇ。
起きてってばぁ……。
早く起きないとおそっちゃうよ…?

アゼル
わわっ!
なんなんだ!?

レイナ
よっ!アゼルちゃん!

アゼル
なんだ、レイナか…。

レイナ
なんだとは失礼ね!
美少女に起こしてもらえているのに!

アゼル
だーれが、美少女だ!
それにここはどこだよ!?

やけに女の子らしい部屋で、
すごくいい匂いがする。
そして寝かされていた布団は
甘い香水みたいな匂いがする。


アゼル
ま、まさか!

レイナ
きゃっ!
押し倒さないでぇー!

レイナを無視し、今いる場所を再度確認する。

アゼル
ここって…
レイナの家か…?

レイナ
だ、だめぇぇー!

アゼル
おーい、もしもーし。

レイナ
え、あ、うん…
私の家だけど、どうしたの?

アゼル
いや、俺って…。

そう。俺は外で倒れていた。
スーツのおっさんにぶっとばされて…
気絶したんだっけ…

レイナ
そういえば、こんな紙が落ちてたよ?

レイナは俺に紙を渡してくる。
その内容は…。

アゼル
蔓草の研究所…。

レイナ
知ってるの?
つかつか!何があったの!?
教えてよ!

アゼル
あぁ、悪い…。
なんかスーツのおっさん(校長)が
ミストをさらって行った。

レイナ
な、なんで…。

アゼル
わからない。
一刻も早く助け出さないと。

レイナ
私も行く!

アゼル
あぁ、今何時だ?

レイナ
朝6時だよ。

アゼル
そうか、朝6時か。
じゃあそろそろ…って…えぇ!?

朝の6時ですと!?
それじゃあれならずっとレイナの家で…。

アゼル
なぁ、レイナ。
お前はどこで寝たんだ?

レイナ
ここだよ?

するとレイナは俺が寝ている布団に
指をさした。
まさか…添い寝?
いやいやいや!

アゼル
あのさ。
なんで一緒に寝てんだよ?

レイナ
布団がひとつしかなくて…。

まぁいいか。
どうせ減るものではないし。

とりあえず体力回復したみたいだし、
早いとこ蔓草の研究所に向かおう。


レイナの家を出ると、
すぐに走り出した。

早く行かないと心配で仕方がなかった。

そして学園へ。

レイナ
あぁ…
門があいてないね…

アゼル
し、仕方がない。
登るぞ!

レイナ
さ、さきにどうぞ?

アゼル
ん、じゃあ後からきてくれよ!

俺は門を上り、すぐさま二階へ。
すると扉の前に誰かが立っていた。

レオン
ここに…俺の友人が…。

ん?
友人…?
さては彼も俺と同じで…?

アゼル
おーい!

レオン
だ、誰だ!

俺は呼びかけると、彼は身構えていた。

アゼル
敵じゃねぇよ、
俺もここに用があるんだ。

レオン
お前の友人もさらわれたのか?

アゼル
あぁ、女の子なんだけどな。

レオン
俺は…理事長を追っている。


おかしいな。
さっきこいつは友人だと言っていた。
でも、目的は一緒のようだ。

アゼル
目的は同じようだ。
どうする?

レオン
破壊するしかねぇだろ?

レイナ
おーい!
やっと追いついた…

レイナが息を切らせて走ってくる。
これでメンバーが揃った。

レオン
仲間か?

アゼル
あぁ、とりあえず扉を破壊しよう。

レイナ
爆弾とかあるの?

正直、こんな硬そうな壁…
殴っても壊れる訳がない。

レオン
これは鉄の重い扉だ。
爆弾をセットするから下がっておれ

アゼル
あぁ、頼んだぞ。

もし、レオンがいなければ
この扉を突破することはできなかっただろう。
そして、予想外の声が聞こえてきた。

アイ
ねぇ、あなたたち。
なにしてるの?

声の主は生徒会長だっだ。
さすがにまずい状況になった。
だが、俺の予想とは違う言葉を発していた。

アイ
私もここに興味あったのよね。
協力するわ。

アゼル
ま、まじですか!?

レイナ
生徒会長さん、いえ、アイさん。
大丈夫なのですか?

アイ
えぇ。
もうここは潰さないといけないから。

アイさんは生徒会長だから。
てっきり止めに入るかと思ったが、
そうでもなかったようだ。

レオン
よし、セット完了だ。

レイナ
耳ふさいどく!

アゼル
よし、頼むぜ!

レオン
おーけー。

レオンは爆弾の導火線にライターで火をつける。
そして、大きな音をたて、爆発する。

アゼル
やったか?

レオン
開いたな。

レイナ
それじゃいこっ!

アイ
気をつけていきましょう!

そうして俺たちは、
蔓草研究所に足を踏み入れたのだった。

第三話 蔓草研究所

第三話 〜蔓草研究所〜

………。

ミスト
う、うーん…ここは?

辺りを見渡すと、壁は鉄で覆われており、
私が寝ている布団とボロい机が真ん中にあり、
それ以外何もない部屋だった。

ミスト
なんだか監獄みたい…。
今なら監視の人かもいないし…。
携帯で連絡とれるかも!

私は携帯を取り出し、
電話をかけようとするが…

ミスト
つ、繋がらない…。

よく見ると電波がない状態になっている。

ミスト
そ、そんな…。

???
無駄ですよ。
ここは地下の奥深く。
携帯などの電波は通りませんよ。

ミスト
だ、誰なの!?
どこにいるの!?

???
はっはっは。
私は理事長だ。
そして放送でお嬢さんに話しかけている。

ミスト
こんなことして何が目的よ!

理事長
まぁ、壁にあるモニターを見てみろ。

理事長が言った壁のモニターに目をやると、
そこには6限目の農業の時間が写っていた。

ミスト
これは…

理事長
アゼルという男。
絶対にここにくるだろう。

ミスト
アゼルちゃん…。

理事長
奴の力がほしいのだ。
アゼ…の……精…魔…で…

何故か、放送の声が聞こえづらくなっている。
もしかすると誰かが妨害しているのかもしれない。

ミスト
アゼルちゃんだ…。

すると鉄の壁が開く。

校長
さぁ!来い!

ミスト
う、いやぁ…

私は校長に腕を捕まれ、
乱暴に引っ張られる。

校長
お前の愛しのアゼルくんが
痛めつけられるところを見せてやろう!

ミスト
やめてよ…!

校長
うるせー。
早くこい!

私は無理やり引っ張られ、
連れてこられた先は…

理事長
どうだ、いい眺めだろ?

アゼル
ミスト!

ミスト
アゼルちゃん!

その場所は…
周りがガラス張りになっており、
そこから下にアゼルちゃんがいる。

………。

アゼル
今助けてやるからな!

レオン
来るぞ!

レイナ
え、敵!?

アイ
気をつけて!
今までとは違うよ!

アゼル
こ、こいつは…!?

俺の目の前に現れたのは
今までとは違う人間…。
人間だと…?

レオン
…!
サツキ…!

アゼル
お前の知っているやつか!

サツキ
お兄ちゃん…久しぶり。

アイ
この子は…確か。
2年生で行方不明になっていた…。

レイナ
じゃああの子が…。
レオン君の探していた子?

レオン
俺の…妹だ。

アゼル
な、なんだと!?


サツキという子はレオンの妹だった。
レオンは家族を捕られていたのだ。
しかも長い間、操られていたのだ。

アイ
今まで通りにあの頭についてる機械を潰しましょ!

校長
よし、おまけにこいつを出してやろう。
いけ!ミスト!

アゼル
なっ!?

ミスト
アゼル…アゼル!

レオン
レイナとアゼルはその子を頼む!
俺とアイ先輩でサツキを何とかする!

アゼル
わかった!

そして俺はミストに抱きつきにかかる。
その隙にレイナがこの頭の機械をとれば…!

アゼル
レイナ!

レイナ
おっけい!

そして、簡単に頭から変な機械はとれたのだった。

アゼル
よし!
ミスト!大丈夫か!

ミスト
う、うーん。
大丈夫みたい…

理事長
ばかな…
どうしてあんな簡単にとれるんだ…?

レオン
サツキ!サツキ!

サツキ
おにぃ…ちゃん?

アイ
よかったわ…!

みんなが目を覚ますと、
再び上を見上げる。

校長
くっ…
何故なんですか!

理事長
私にわかるわけないだろう!

校長
くっ、俺が相手してきます!

理事長
あ、こら!待たんか!
そこから飛び降りると…。
ってもう遅いか。

校長
うぉ!?

アゼル
な、なんだ?


よく見ると罠が仕掛けられており、
床に穴が空いていた。

校長
うわぁぁ!

レイナ
あわわ…

レオン
この下は…。

アゼル
見てみよう…。

俺とレオンは下を見ると、
そこには串刺しになった校長が目を開けて、
こちらを睨んでいた。

アゼル
くっ…

レオン
やばかったな…

理事長
ちっ、余計なことを…

アイ
アゼル!
理事長が逃げていくよ!

サツキ
あっちは出口だよ!

レオン
よし、わかった!

ミスト
いこ!アゼルちゃん!

アゼル
あぁ!絶対に捕まえてやる!


俺たちは一斉に走り出した。
そして出口へと急いだ。

レオン
サツキ…今まで助けにこれなかってごめんな。

サツキ
いいよ、
お兄ちゃんがきてくれるって信じてたもん

レオン
そうか…。

アゼル
お、見えてきたぜ!

レイナ
とりあえずこの校舎内を探してみましょ!

アイ
でも、時刻は朝8時よ。
一般生徒が来ている時間だわ。

確かにそうだ。
今日は平日だから登校してくる時間だ。
すると、出口に沢山の人がいる。

アゼル
うわ…
どうするよ…

レオン
おい!おめぇら!
理事長こなかったか!?

男子生徒
おう、レオン!
そんなことだろうと、
バッチリ捕まえておいたぜ!

女子生徒
私の友達をよくも…!

女子生徒B
サツキちゃん!
よかった…無事だったんだ!

サツキ
ごめんね。皆…。


皆、それぞれに友達の所へ行き、
話し合ったり、抱き合ったりしていた。

俺は理事長をぼこぼこにしてから
警察に届けるようにする。
そして、理事長を探す。
その姿はすぐに確認できた。
状態は、全身傷や殴られた後が沢山ついており、
おまけに縄でぐるぐるまきにされていた。

理事長
くっ…

アゼル
はでにやられたものだな?

理事長
貴様の精霊魔法を使ってやろうと思ったのだがな。

アゼル
残念だが、もう無理になったな?

理事長
ふっ、お前のような転校生にやられるとはな。
どうやって頭の機械を外したんだ?

アゼル
あんなの初歩的な機械だ。
ドライバーさえあれば解除できるんだぜ?
繋ぎとめている場所を考えると
すぐにわかったぜ。

理事長
校長の頭はそこまで馬鹿だったのか…。

アゼル
あんたには指名手配がある。
警察に連絡して…

ミスト
もうよんであるよ!

アゼル
ミスト、ありがとな 。

俺はミストに礼を言うと、
理事長に向き直った。

理事長
なんだ。まだ何かあんのか?

アゼル
いいえ?
でも、貴方のしたことは罪が重過ぎますよ。
檻の中でじっくり考えてくれ。

理事長
ちっ。

警察官A
いたぞー!

すると、警察官の団体様が
理事長目掛けて走ってくる。
その中でも一番偉そうで厳つい警察官に
こう言われた。

警視庁
君かね、理事長を探し出してくれたのは。

アゼル
俺だけじゃないです。

警視庁
そうか。
では、事情を伺うために
その関係者を連れてきてもらおうか。
怪我人がいたらすぐ言ってくれ。

アゼル
わかりました。

警視庁だろうか、
的確な指示を出してくる。

俺は皆を集め、
警視庁が待機している
共有スペースへ向かった。

第四話 理事長確保

第四話 〜理事長確保〜


すると、レオンから声をかけられる。

レオン
なぁ、アゼル。

アゼル
なんだ?

レオン
いや、何かこれでよかったのかなって。

アゼル
あぁ、大丈夫だろ。
これからは新しい理事長が来るし、
校長だって新しく来るらしいし。

レオン
ならいいんだけどな。
こんな事…二度と起こってほしくなくてさ。

アゼル
そうだな。

レオンと話していたらいつの間にか
共有スペースについた。
そして厳ついおっさん(おそらく刑事) が
俺たちに歩み寄る。

刑事
まっていたぞ。
ここから署の方にきてもらい、
今までの事を話してもらうことにしよう。
大事な証拠だからな。

レオン
あの、サツ…いえ、俺の妹はずっと誘拐されてて
精神面の方で疲れてると思うんです。
病院で話をすることはできないでしょうか?

刑事
そのことなら警察病院があるんだ。
そこで話をすればいいだろう。

レオン
あ、ありがとうございます。

レオンはそう言うと、
共有スペース出口のすぐ側に
パトカーが止まってる方にサツキと歩き出した。

ミスト
私は大丈夫だから、行こ?

アゼル
あぁ、でも無理すんなよ?
辛くなったらすぐに言ってくれよな。

レイナ
私とアイ先輩で後ろのパトカーに乗るね。
また後でね!

アイ
それじゃあ。

アゼル
あぁ、また後で…。

ミスト
私達も行こ?

アゼル
そうだな。

俺は3台あるうちの真ん中のパトカーに
ミストと一緒に乗り込む。
パトカーって臭いんだな…。
俺たちの他には補助の警官が両サイドに2人、
運転手が1人、助手席に1人だ。
俺たちは後部座席の真ん中にいる。
かなりガードがきっちりしているようだ。

ミスト
し、失礼ですが…
なんか臭わないですか?

アゼル
大丈夫、俺もそう思っていたところ。

警官A
おい、ファブ〇ーズさぼったな!

警官B
いやいや!
先輩が当番ですよね!?

警官A
やかましい!
細かい事は気にするな!
今からでもいいからするんだ!

警官B
そんなムチャクチャな…。

アゼル
いやまぁ、大丈夫ですから…
ちょっと静かにしてもらえますか…。

警官A
あぁ、すまないな…。

警察官の人は素直に黙ってくれた。
さすが職業柄があってすごいな。

ミスト
もう少しで着くんじゃ…?

アゼル
確かに、歩きでも10分程度だから
そう遠くはないだろうな。
しかもパトカーだし。

ミスト
そっか!
あのね、私…化粧直しに行きたい…。

アゼル
あ?ここですればいいじゃないか。

ミスト
こ、ここで何でできないよ!ばか!

アゼル
なんなんだ…?

警察官A
おそらくトイレだ。
署に着いたらすぐにあるから我慢しな。

アゼル
なるほどな…。

俺は1つ賢くなった!

ミスト
アゼルのばか。

アゼル
ごめんって、わからなかったんだよ。

ミスト
ぷくっー。

ミストは怒ったように口を膨らませる。
こういうとこが可愛いな。
と、茶化すのは悪いので、
運転手に話を聞いてみる。

アゼル
運転手さん、後どれぐらいです?

運転手
そろそろ着きそうですよ。

俺とミストは窓の方を見ると、
かなりのマスコミが警察署の周りにいた。

アゼル
な、なんじゃこりゃ…

警察官A
マスコミ共に聞かれても何も喋るな。
いいな?

アゼル
わ、わかりました…。

パトカーはいったん駐車場へ止まった。
外から警察官が扉を開ける。

警察官C
どうぞ。
お早めに署の中へ。

アゼル
は、はい。
行くぞ、ミスト!

ミスト
う、うん!

俺はミストの手を握り、そのまま署へ走る。
すると、後ろからレオンとサツキがきた。

レオン
アイ先輩とレイナは?

アゼル
わからんが、
とにかく中に入ろう!

レオン
わかった!

俺たちはマスコミを蹴散らし、
署の中に入る。
すると、一人の女性に声をかけられる。

女性警官
さぁ、こっちよ。
残りの2人は部屋で待ってるわ。

アゼル
わかりました。

レオン
先に行ってたのか。

サツキ
お兄ちゃん…大丈夫かな?

レオン
心配することないさ、
話をして、終わりだからな!

ミスト
えっと…お手洗い…。

しまった、思いっきり忘れてた。
ミストが我慢している事に。

アゼル
あの、すみません。
この子がトイレを借りたいようなので…

女性警官
あら、そうだったの?
ちょうどここだし、待ってるわ。

ミスト
あ、ありがとうございます!

サツキ
じゃあ私も!

女子達はそういうと、
俺たち男を放置してトイレに入っていった。

アゼル
ついでだし、俺たちもすませておくか?

レオン
あぁ、そうだな。

俺たち2人もトイレに入った。


ミスト&サツキ〜編〜

ミスト
サツキちゃん。

サツキ
なんですかー?

ミスト
サツキちゃんって、
私達と同い年だよね?

サツキ
そうですけど、
なんだか、
ミストさんっておねぇちゃんみたいだなぁ。
って思ってね?

ミスト
そうなんだぁ。
ねぇ、それじゃあアゼルちゃんは?

サツキ
うーん、顔は格好良いと思うんですけど、
まだ性格がわからないから…なんとも。

ミスト
じゃあ今度遊んでみてはどうかな?
もちろん、このみんなで!

サツキ
そうですね!
私はお兄ちゃんを誘いますね!

ミスト
じゃあ私はレイナとアイ先輩を誘ってみてから
アゼルちゃんを誘ってみるね!

サツキ
アゼルさんは最後ですか?

ミスト
うん、その方が誘いやすいかな?って。

サツキ
そうですか、じゃあ戻りましょうか。

ミスト
うん!


アゼル&レオン〜編〜

レオン
なぁ、アゼル。

アゼル
なんだ?

レオン
今度みんなで遊びに行ってみないか?

アゼル
何故またそんな急に?

レオン
楽しいことを…学生の間にしかできない事を
してみたいんだ。

アゼル
なるほどな…。
俺はいいぜ?
何処行くかは意見を聞いてからだな。

レオン
あぁ、それともう一つあるんだ。

アゼル
ん?

レオン
サツキ…お兄ちゃんっ子だから、
他の男友達を作ってほしいんだ。
そこで、アゼルに頼みがあるんだ。

アゼル
友達になってやってくれとか…
そんなんだろ?

レオン
その通りだ。
別に無理にとは言わない。
頼んでもいいか?

アゼル
そういう事なら、まかせておけ!

レオン
ありがとう。
そろそろ戻るか。

アゼル
あぁ。

そして俺たちはトイレから出ると、
既に女子は出てきていた。

ミスト
遅いっ!

アゼル
ごめんごめん。
いろいろ話してたらな?

レオン
あぁ、実は…
みんなで遊びに行きたいと考えてたんだ。

サツキ
お兄ちゃん!それ私達もだよ!?

レオン
そ、そうなのか?

ミストとサツキは俺たちと同じことを
トイレの間で話していたようだ。

アゼル
丁度同じ話をしていたのか!

ミスト
それじゃあ話は早いね!
予定より少しずれちゃうけど。

アゼル
ん?何がだ?

ミスト
うぅん!なんでもないよ!

ミストはそう誤魔化したが、
俺は疑問に思ったので聞いてみた。

アゼル
あのさ、どうして遊ぶって事が出てきたんだ?

ミスト
あのね、
私からの提案なんだけど、
サツキちゃんをいろいろな場所に連れていって、
楽しくできたらいいなって思ってたの。

サツキ
私…アゼルさんと…
と、と…!

アゼル
ん…?と?

サツキ
と…友達になりたいんです!

レオン
こちらから言うまでもなかったな!
アゼル!

アゼル
あぁ、そうだな!
サツキちゃん、いいよ。
友達になろう!

サツキ
ありがとうございます!

ミストは俺とサツキちゃんを
仲良くさせるための作戦?だったのだ。
こちらから言う手間も省けたから、
そのお返しとして、遊びに誘ってみることにする。

アゼル
サツキちゃん。
もしよかったらだけど、
みんなで喫茶店行ってみないか?

ミスト
お、あのアゼルおすすめの!?

レオン
飯は上手いとこなのか?

アゼル
あぁ、まぁな!

サツキ
行ってみたいです!

アゼル
決まりだな。

約束を交わして、
その場が何処だか今になって気づく。

女性警官
そろそろいいですか?
もう時間がありませんので…。

ミスト
す、すみません…。

気づかずにずっと話していた俺達。
きっと、このメンバーでいるのが
すごく楽しいのだろう。
そう。時間を忘れるほどに。

そして俺たちは
レイナとアイ先輩がいる場所に着く。
中に入ると、
長机が一つと椅子が10脚ならんでいる、
それ以外何もない場所に連れてこられた。
するとアイ先輩が呆れた顔して話しかけてきた。

アイ
ようやく到着ね。
マスコミにでも捕まっていたの?

アゼル
そういうわけじゃないんだ、
ただトイレに行って、話し込んでしまって…。

レイナ
トイレで話し込んだの!?
ま、まさか…!

アゼル
いやいや!
変な誤解すんなよ!?

アイ先輩の目が何だか怖くなっている。
気のせいにしておこう…。

アイ
それで?
何を話していたの?

アゼル
実は…

俺はアイ先輩に皆で遊ぶ事や、
友達作りのことを全て話した。

アイ
それは良さそうね。
楽しくするのはいいことだわ。

ミスト
それじゃあレイナは強制参加ね!

レイナ
え!まぁ、いいけどさ〜

レオン
サツキも俺も参加しますよ。

アイ
ここにいるメンバー全員ってことね?
私も参加するわ。

アゼル
それじゃあ、今度の休みに学園集合ってことで。

俺がそういうと、
皆は反対せずに返事をしてくれた。

少ししてから刑事達が中に入ってきた。
おそらく俺たちの話をきくために。

刑事
それじゃあ話を聞かせてもらおう。
誰か代表して喋ってくれるかな?

そういうと、刑事さんは俺を指名してきた。

アゼル
え、俺ですか?

刑事
君が見たところ、皆を引っ張ってる気がしてな。
お願いできるかな?

アゼル
はい、では…。

第五話 刑事達

第五話 〜刑事達〜

刑事
まず一つ目なんだけどな。
理事長は学園で何をしていた?

アゼル
ほとんど学園には顔を出さず、
ずっと研究所に入ってたと思われます。

刑事
そうか、君は転校生だったな?
なのに、どうしてあそこにいるとわかったんだ?

アゼル
一度あそこを通りかかったときに
怪しい人影を見たんです。
そこから何かあると思ってました。

刑事
うーむ。
それから変なやつにつけられていたとか、
女の子のほうがストーカーにあったとかないか?

アゼル
一度だけあります。
学園からの帰り道にスーツ姿をした
校長が追いかけてきまして…。
俺は殴られて気を失い、
こっちの女の子は
その校長に連れて行かれたんです。

刑事
校長か…。
上の人間が揃いも揃って。
で、その校長はどこに行ったんだ?

アゼル
自ら仕掛けた罠にかかり、
亡くなりました。
あそこの研究所に遺体はあります。

刑事
わかった。
こちらで捜査しておくことにしよう。
それで、最後に1つ。
研究していた内容はわかるか?

アゼル
はい、それが…人体実験で、
人を操り、何かをしようとしてたみたいです。

刑事
その、何かとは?

アゼル
詳しくはわからないんですけど、
俺がもつ力を欲しがっていたみたいなんです。

刑事
力か…精霊と対話できる力か?

アゼル
その通りです。
それを使い、金もうけを考えていたと思われます。

刑事
よし、いいぞ。
こちらからは以上だ。
病院はこちらで手配してあるが、
どうする?

アゼル
一応この二人はお願いします。

俺はミストとサツキちゃんを指さした。

刑事
わかった。
他は大丈夫だね?

アゼル
はい。ありがとうございます。

刑事
それじゃあこの2人を頼んだぞ。

看護婦
わかりました。
では、いきましょう?

ミスト
みんな、また後でね!

サツキ
お兄ちゃん!お見舞いきてね!

レオン
入院はしないだろ?
検査だけで終わると思うから早く戻っておいで。

サツキ
うん!
じゃあね!

レイナ
待ってるよ、二人とも!

そうしてミストとサツキは
隣の警察病院に向かって行った。

刑事
後は好きに帰っていいが、
あまり署の中をウロウロされては困るからな。
まずはここで少ししてから
警察病院に行ったらどうだ?

アゼル
じゃあそうさせていただきます。

刑事
ではな。

そう言うと、刑事達はぞろぞろと出ていく。
残された俺たちは…。

アイ
お腹すいたわ。

レオン
ですよね…朝から何も食べてないんです。

レイナ
これからそれぞれ家に帰るの?

アゼル
一応その予定だが…

レイナ
じゃあさ!
学園戻って、食堂で食べるってのはどう?

アイ
今の時間なら空いてるわ。
売店もあるから焦らなくても大丈夫だと思うけど。

アゼル
それじゃあそれで行こうか。
ミストとサツキちゃんにも聞いてみような?

レイナ
うん!

レオン
そろそろ行くか?

アゼル
あぁ。

ある程度時間がたったので、
病院の方に移動することになった。
ここは一階で、
署内の地図がわかりやすくあったので
それを見てから移動した。

目的地に着くと、
すでに検査済みの二人が椅子に座っていた。

ミスト
アゼルちゃん!
どこにも異常ないって!

サツキ
私もだよ、お兄ちゃん!

アゼル
おぉ、よかったなぁ。

レオン
何もなくてよかったよ。

レイナ
ねぇねぇ、ミストとサツキちゃん。
これから学園に戻って
食堂でご飯っていうのはどう?

ミスト
いいね!
お腹空いてたところなんだ〜

サツキ
お兄ちゃんが一緒になら…

アイ
早く行かないと昼休みが終わってしまうわ。
急いでね。

アゼル
そうだな。

俺たちは早足で警察署から出た。

そして…皆走って学園へ行くのであった。

……。

しばらくすると、女子達が限界に近づいていた。

レイナ
もうだめ…

サツキ
お兄ちゃん…おんぶして…

ミス
アゼルちゃん…お姫様抱っこ…

アイ
私も…お願いしようかしら…。

アゼル
いやいや、
2人もできませんからね!?
それに少し歩きながら行けば…。
なぁ?レオン?

俺はレオンに同意を求めようとした。

レオン
ほら、しっかり捕まってろよ!

サツキ
う、うん。

……。
俺はズッこけてしまった。

………。

いろいろあったが、
食堂についた。

レオンがもたもたしていたせいで、
メニューがほとんど無くなっていた。

レオン
さて、食うか。
売店のサンドイッチ。

レイナ
そ、そうだね?

ミスト
今はこれで我慢するしかないよね…?

アイ
私はこれぐらいが丁度いいかと思うけど?

サツキ
お、お兄ちゃん?
アゼルさんが…。

アゼル
いいんだ、サツキちゃんのせいじゃない。
レオン。明日の日替わり弁当奢りな。

レオン
だ、だってな〜?
サツキが倒れそ…

アゼル
日替わりな?

レオン
わかった…。

俺が冗談を言うと、
周りにいるメンバーが笑い出す。
こういう事でも笑える仲間はすごくいい。

俺はこのメンバーでずっといられるように
ひそかに心で願ったのであった。

第六話 RPG世界の人と対面

第六話 〜RPG世界の人と対面〜


朝、自室の窓から照りつける朝日。
俺は目覚ましの音で目が覚める。

アゼル
うーん。まだ眠い…。
できればもう少し…。ぐぅ。

理事長の事件から2週間が経った日。
学園に転校生が来たとの噂が入った。
もちろんレイナの情報だが。

アゼル
って、だめだだめだ!
起きないとな。

そして俺はいつものようにある子へ電話する。

ミスト
ふぇ…もひもひ…

アゼル
おぉ、起きたか?
んじゃあ早く用意して学園に来るんだぞ!

ミスト
アゼルぅ…まだ声が聞きたいの…

アゼル
バカな事言ってないで早くするんだ、
俺まで遅刻したら嫌だからな。

ミスト
うぅーん、はーい…

そうして俺は電話を切る。
登校初日に朝は電話してやるって
言ってしまったからな。

アゼル
さーて、噂の転校生を拝見しに行きますか。

俺は制服に着替え、支度を済ませる。

玄関から外に出ると、
一気に日差しが差し込む。

アゼル
うわぁ。眩しすぎるだろ…

いつもの朝。
変わらない日常。

前の事件が無くなり、
普通の学園生活を送れていたのだが…
今日から、ある男のせいで大変な目に合うとは
俺は思ってもみなかった。

俺は学園に着くと、
ロッカーに行き、
学園内用のローファーに履き替える。

アゼル
なんでこんなめんどいことをするんだろ…

文句をぼやいていると、
後ろからいきなり肩を叩かれる。

アイ
おはよう、アゼルくん。

アゼル
あ、おはようございます、アイ先輩。

今更説明などいらないが、一応言っておく。
この人は生徒会長で、かなりスタイルも良く、
男女共にモテモテなのだ。

アイ
よし、服装は大丈夫だな。

アゼル
毎朝お疲れ様です。

アイ
言うこと聞かない人がいると大変なのよ。
アゼルくんも生徒会入ってみる?

アゼル
い、いえ…俺何かが入れそうな場所では…

そうだ。俺は普通の頭しかない。
テストもそこそこだからな。

アイ
そう?
意外とできそうな感じもあるんだけどねー。

アゼル
それならミストはどうです?
あの子なら記憶力もいいので、力になるかと。

アイ
誘ってみたんだけど、
あんまり乗り気じゃなかったからやめたわ。

アゼル
そうなんですか。

アイ先輩と話をしながら廊下を歩いていると、
後ろからいきなり飛びつかれる。

レイナ
おっはよー!アゼルちゃん!

アゼル
いて!
いきなり抱きつく事ないだろ!?

レイナ
いいじゃーん。減るもんじゃないし!

アゼル
俺がよくないんだよ!
その…いろいろ感触が…。

背中に柔らかいものが当たっていて、
当然、顔は熱くなっていく。

レイナ
照れてるの?
何か嬉しいなぁ…

アゼル
いいから、離れろ!
周りの目線を気にするんだ!

男子生徒
おい、見ろよ。
またアゼルがハーレムだぜ。

男子生徒B
あいつめ…!
2年の美少女ミストさんとレイナちゃんを物にして
しかも3年生の生徒会長のアイ先輩まで…!

男子生徒C
世の中不公平すぎるだろ!
なんでアゼルばっかり!

アゼル
ほ、ほら!
男子達の目が怖いから!
とにかく離れてくれ!

レイナ
むー、わかったよ。

すると、ようやく背中から違和感がなくなる。

アイ
それじゃあ私はこっちだから。

アゼル
あ、はい。
頑張ってください。

俺たちはアイ先輩と別れると、教室に向かう。

レイナ
ねえ、ミストは?

アゼル
たぶん、そのうち走ってくるだろう。
いつものように。

レイナ
あははー、そっかー!

アゼル
お、噂をすれば。

ミストが俺とレイナに向かって走ってくる。

レイナ
ミスト、おはよう!

アゼル
おお、そんなに息を切らせてどうした?

ミスト
はぁ…はぁ…もうだめ…

アゼル
だからってわざとらしく
後ろから肩に手を置いておんぶしろ的な事しない!

っていうか、この状態でおんぶすれば
いろいろとやばい。
耳に吐息がかかり、熱が伝わるとかで
男としていろいろやばいからな。

レイナ
じゃあ私も!

アゼル
あ、こら…

止める間もなく、
レイナがミストをどかし、
飛びついてのぼり上がってくる。

ミスト
あー!ずるい!じゃあ私は前ね!

アゼル
あ、こら…ちょっと待て…!

そんな俺の抵抗は虚しく…
前にはミストが抱っこ状態になり、
後ろにはレイナがおんぶになっている。

結局教室まで降りなかった2人だった。

………。

レオン
なぁ、レイナ。

レイナ
どうしたの?

レオン
転校生ってどんなやつか聞いてないか?

レイナ
なんかねー、かっこいい男の子!だけしか
知らないわぁ。

レオン
男か…。
それよりなんでアゼルはのびているんだ?

レイナ
わっかっんないよーん♪

ミスト
おかしいなぁ、私達そんな重かったっけ?

レイナ
2人ぶんだからじゃない?

ミスト
なるほどー!

レオン
……アゼル…どんまい…!

アゼル
……………。

そして、HRが始まろうとしていた。
俺はなんとか体を起こし、転校生を待つ。

アゼル
おふぅ…
転校生はまだか…?

レオン
お、アゼル。
生きてたか!

アゼル
勝手に人を殺すなよ。

レオン
わりいな、かなりのびてたからな?

レイナ
ごめんね、アゼルちゃん。

ミスト
私もおふざけが過ぎました…。

アゼル
うん、まぁいいよ。
どうせいつもの事だしさ。

すると、先生が転校生を連れて入ってくる。

先生
静かに!
今から転校生を紹介します。
では、どうぞ~。

アザク
俺はアザク。
ついこの間まで北の街、ウール街にいたんだ。
あそこで俺は剣術を習っていた。
それで…一応、世界を救ったことになっている。
よろしくな。

先生
アザクくんはこの世界に必要不可欠な精霊、
大地のエネルギーを
吸収する巨人を倒してくれたの。
野菜や動物達が生きられるのはそのおかげよ。

アザク
まぁ、俺1人で倒した訳じゃないんだがな。
他にもメンバーはいるのだが…
今は連絡がなく、まったく会えないんだ。
む…。

ある程度説明し終わった頃にアザクってやつが
俺のほうを見る。
その目は何だか怖かった。

アザク
なぁ、そこの男子…

指をさされる。
やはり何があるようだ。

アゼル
俺はアゼルだ。
それよりなんだ?

アザク
あぁ、アゼルでいいな?
お前から特別な力が感じられる。
精霊の力を自由に操れる力…。
精霊魔法を使えるはずだ。

アゼル
な、なぜわかるんだ?

アザク
詳しくはまた昼休みにでも話そう。

アゼル
あ、あぁ…。

すると、アザクはそのまま先生の所に戻った。

レオン
大丈夫か?
あいつ…結構威嚇?していたくね?

アゼル
わからんな…。

ミスト
ちょっと怖いかな…

レイナ
うぅ…こんな人だとは思わなかった…。

皆それぞれに感想を言っている。
確かにあいつはよくわからないし、
結構目つきが悪い。
さすが軍事の街にいたというか。

先生
それじゃあ、
アザクくんは窓際の一番後ろにお願いするわ。

アザク
わかりました。

アザクはこちらをちらっと見てから、
席に向かった。
かなり目を付けられているようだ。

俺は緊張で、
時間が経つのを遅く感じたのであった。