精霊魔法と学園LOVE.STORY Ⅳ

〜王都への道〜

第八話 サツキの思い

第八話 〜サツキの思い〜


サツキ
ねぇ、お兄ちゃん。

レオン
ん?どうした?

サツキ
思うんだけど、
アゼル先輩が使う精霊魔法を、
国家の為に役に立たないかな?

レオン
いい考えかもしれないけど、
アゼルと会えなくなってしまうぞ?

サツキ
え、どうして?

レオン
そりゃ、
いろんな所に行ってしまうから、
ほとんど戻ってこれなくなると思うぜ。

サツキ
なるほどね…。
うーん…。

レオン
ほら、もう寝なよ?
俺も寝るからさ。

サツキ
うん。
おやすみ、お兄ちゃん。

レオン
あぁ、おやすみ。

私はお兄ちゃんの部屋を後にし、
自室へ戻る。

サツキ
アゼル先輩に相談してみようかな。

アゼル先輩に話したら、
いい考えが出るかも。

前の理事長じゃないけど、
それでアゼル先輩に収入が入るかも。

サツキ
明日になったら聞いてみよっと!

私は眠りについたのだった。

……………


アゼル
んんー…
もうこんな時間か…

時計を見ると8の時を短針が指していた。

アゼル
あぁー!
やばい!ミストを起こさないと!

俺は慌てて電話をかける。
今から起きて用意するとなると、
ミストの家は学園からすると、
俺の家よりも遠い。
なので、
2倍の速度で支度を済ませなければならない。

ミスト
ふぇ…もしもし…?

アゼル
ミスト!
早く起きろ!
俺が寝坊してしまった!

ミスト
え…!?
ほんとに!?
早くしないと!

アゼル
前みたいに自転車かっ飛ばしてくるんだ!
ただし、事故るなよ!

ミスト
うん!
じゃあ待っててね!

アゼル
あぁ!

そして、俺はスマホの通話終了ボタンを押す。
実際に俺はというと、
そこそこの早さで準備をすれば余裕に間に合う。
ミストは女の子だから、
いろいろ時間がかかるだろう。

アゼル
悪いことしてしまったな…。

俺は少し急ぎ気味で支度を済ませるのだった。

…………


レオン
さて、俺たちは今から行くか!

サツキ
うん!
お兄ちゃん、今日は何に乗るの?

レオン
今日はバイクだな。
少し余裕に行きたいからな!

サツキ
やった!
バイクって風が気持ちいいんだよね!

レオン
そうだな!


俺の家、レオン家は学園から結構離れている。
学園内で一番遠いって言われているぐらいだ。
なので、俺は免許を取り、
サツキを後ろに乗せて学園に向かう事が
登校手段となっている。

もちろん、学園から許可は出ている。

何故そこまでして青洋学園に通うのかと言うと、
サツキが自然環境科の方に行きたいと
高校に入る前の俺に言ってきたのだ。
その時にいろいろ調べて、
親から候補が出たのが青洋学園なのだ。

そこは学力がそこそこにいる場所だった。
俺は必死に勉強して、何とか合格した。
妹を引っ張る力ができたのだ。

俺が心の中で語っていると、
サツキから声をかけられる。

サツキ
お兄ちゃん?
どうしたの?

レオン
いや、昔の事を思い出してさ。

サツキ
なーに?昔のことって。

レオン
俺が高校に入る前だよ。
必死に勉強して、何とか合格したなーって。

サツキ
あぁ…、あの時のお兄ちゃん。
必死だったもんね…。
自然のことなんてまったくだったもんね?

レオン
まったくだぜ。
俺はエンジニアの方に行きたいって
勉強してたからな。
正反対だったぜ。

サツキ
なんかごめんね?

レオン
いいんだ、
それより早く乗るんだ。

サツキ
うん!

俺はサツキを後ろに乗ったのを確認すると、
メットを被らせる。
そして俺もしっかり被り、走り出す。

レオン
しっかり捕まってろよ!

サツキ
わかったー!

俺は車の無い道をひたすら走らせるのだった。


…………


アゼル
いやー、ほんとごめんなー。
まさかあれだけぐっすり眠るとはな。

ミスト
もう!
ほんとにやばかったんだからぁー。

アゼル
ごめんな、食堂でなんか奢るよー。

ミスト
ほんとに!?
でも、私も悪いんだよね…。
しっかり1人で起きないから悪いんだよね。

アゼル
あぁ、それは仕方ないよ。
ミストは低血圧みたいだしな。
それに最初に約束してしまったからな。

ミスト
うん、ありがとね。

アゼル
いいよ、まぁとにかく何か奢るよ。

ミスト
うん!じゃあ早く行こう!

アゼル
そんな慌てると転けるぞー!

ミスト
大丈夫…!わわっ!

アゼル
危ない!

俺はミストの手を握り、
自分の方へ引き寄せた。

ミスト
うぅ…アゼルちゃん…。

アゼル
あ…!ごめん!
なんか抱きしめる感じになってしまったな…。

ミスト
い、いいよ…少しびっくりしちゃっただけ…。

アゼル
と、とりあえず…行こうか。

ミスト
うん…。
それと…別に…嫌じゃなかったよ…。

アゼル
ん?何か言ったか?

ミストはすごく小さな声で何かを喋っていた。
俺には聞こえない程の声で。

ミストと話しながら歩いていると、
いつの間にか校門前に着く。
するとそこには生徒会長がいつものように
服装のチェックをしていた。

アイ
あら、アゼルくん。ミストさん。
おはよう。

アゼル・ミスト
おはようございます、先輩。あ…。

見事にハモってしまった。
息の良い俺たちに先輩は微笑む。

アイ
息ぴったりね!
何かいい感じね、二人とも。

アゼル
あはは…そうですね。

ミスト
い、いい感じって何ですか…!?

アイ
そうね…相性が良いとかかな?

ミスト
あ、あ…そういうことですか!

アイ
ふふ。
でも、アゼルくんの事好きなんでしょ?
早くしないととられちゃうよ?

アイ先輩は俺だけに聞こえないように
ミストに耳打ちをしている。
すると、ミストが赤面して走っていってしまった。

アゼル
いや、何やってんすか、先輩。

アイ
ただのアドバイスよ。
さぁ、服装は大丈夫だから行きなさい。

アゼル
あ、はい…ではまた後ほど…。

アイ先輩はいったい何をアドバイスしたのだろう?
考えたが、全然わからなかった。

アゼル
まぁ考えてても仕方ないか。


俺は自分の教室に向かうのであった。