精霊魔法と学園LOVE.STORY Ⅳ

〜王都への道〜

第六話 RPG世界の人と対面

第六話 〜RPG世界の人と対面〜


朝、自室の窓から照りつける朝日。
俺は目覚ましの音で目が覚める。

アゼル
うーん。まだ眠い…。
できればもう少し…。ぐぅ。

理事長の事件から2週間が経った日。
学園に転校生が来たとの噂が入った。
もちろんレイナの情報だが。

アゼル
って、だめだだめだ!
起きないとな。

そして俺はいつものようにある子へ電話する。

ミスト
ふぇ…もひもひ…

アゼル
おぉ、起きたか?
んじゃあ早く用意して学園に来るんだぞ!

ミスト
アゼルぅ…まだ声が聞きたいの…

アゼル
バカな事言ってないで早くするんだ、
俺まで遅刻したら嫌だからな。

ミスト
うぅーん、はーい…

そうして俺は電話を切る。
登校初日に朝は電話してやるって
言ってしまったからな。

アゼル
さーて、噂の転校生を拝見しに行きますか。

俺は制服に着替え、支度を済ませる。

玄関から外に出ると、
一気に日差しが差し込む。

アゼル
うわぁ。眩しすぎるだろ…

いつもの朝。
変わらない日常。

前の事件が無くなり、
普通の学園生活を送れていたのだが…
今日から、ある男のせいで大変な目に合うとは
俺は思ってもみなかった。

俺は学園に着くと、
ロッカーに行き、
学園内用のローファーに履き替える。

アゼル
なんでこんなめんどいことをするんだろ…

文句をぼやいていると、
後ろからいきなり肩を叩かれる。

アイ
おはよう、アゼルくん。

アゼル
あ、おはようございます、アイ先輩。

今更説明などいらないが、一応言っておく。
この人は生徒会長で、かなりスタイルも良く、
男女共にモテモテなのだ。

アイ
よし、服装は大丈夫だな。

アゼル
毎朝お疲れ様です。

アイ
言うこと聞かない人がいると大変なのよ。
アゼルくんも生徒会入ってみる?

アゼル
い、いえ…俺何かが入れそうな場所では…

そうだ。俺は普通の頭しかない。
テストもそこそこだからな。

アイ
そう?
意外とできそうな感じもあるんだけどねー。

アゼル
それならミストはどうです?
あの子なら記憶力もいいので、力になるかと。

アイ
誘ってみたんだけど、
あんまり乗り気じゃなかったからやめたわ。

アゼル
そうなんですか。

アイ先輩と話をしながら廊下を歩いていると、
後ろからいきなり飛びつかれる。

レイナ
おっはよー!アゼルちゃん!

アゼル
いて!
いきなり抱きつく事ないだろ!?

レイナ
いいじゃーん。減るもんじゃないし!

アゼル
俺がよくないんだよ!
その…いろいろ感触が…。

背中に柔らかいものが当たっていて、
当然、顔は熱くなっていく。

レイナ
照れてるの?
何か嬉しいなぁ…

アゼル
いいから、離れろ!
周りの目線を気にするんだ!

男子生徒
おい、見ろよ。
またアゼルがハーレムだぜ。

男子生徒B
あいつめ…!
2年の美少女ミストさんとレイナちゃんを物にして
しかも3年生の生徒会長のアイ先輩まで…!

男子生徒C
世の中不公平すぎるだろ!
なんでアゼルばっかり!

アゼル
ほ、ほら!
男子達の目が怖いから!
とにかく離れてくれ!

レイナ
むー、わかったよ。

すると、ようやく背中から違和感がなくなる。

アイ
それじゃあ私はこっちだから。

アゼル
あ、はい。
頑張ってください。

俺たちはアイ先輩と別れると、教室に向かう。

レイナ
ねえ、ミストは?

アゼル
たぶん、そのうち走ってくるだろう。
いつものように。

レイナ
あははー、そっかー!

アゼル
お、噂をすれば。

ミストが俺とレイナに向かって走ってくる。

レイナ
ミスト、おはよう!

アゼル
おお、そんなに息を切らせてどうした?

ミスト
はぁ…はぁ…もうだめ…

アゼル
だからってわざとらしく
後ろから肩に手を置いておんぶしろ的な事しない!

っていうか、この状態でおんぶすれば
いろいろとやばい。
耳に吐息がかかり、熱が伝わるとかで
男としていろいろやばいからな。

レイナ
じゃあ私も!

アゼル
あ、こら…

止める間もなく、
レイナがミストをどかし、
飛びついてのぼり上がってくる。

ミスト
あー!ずるい!じゃあ私は前ね!

アゼル
あ、こら…ちょっと待て…!

そんな俺の抵抗は虚しく…
前にはミストが抱っこ状態になり、
後ろにはレイナがおんぶになっている。

結局教室まで降りなかった2人だった。

………。

レオン
なぁ、レイナ。

レイナ
どうしたの?

レオン
転校生ってどんなやつか聞いてないか?

レイナ
なんかねー、かっこいい男の子!だけしか
知らないわぁ。

レオン
男か…。
それよりなんでアゼルはのびているんだ?

レイナ
わっかっんないよーん♪

ミスト
おかしいなぁ、私達そんな重かったっけ?

レイナ
2人ぶんだからじゃない?

ミスト
なるほどー!

レオン
……アゼル…どんまい…!

アゼル
……………。

そして、HRが始まろうとしていた。
俺はなんとか体を起こし、転校生を待つ。

アゼル
おふぅ…
転校生はまだか…?

レオン
お、アゼル。
生きてたか!

アゼル
勝手に人を殺すなよ。

レオン
わりいな、かなりのびてたからな?

レイナ
ごめんね、アゼルちゃん。

ミスト
私もおふざけが過ぎました…。

アゼル
うん、まぁいいよ。
どうせいつもの事だしさ。

すると、先生が転校生を連れて入ってくる。

先生
静かに!
今から転校生を紹介します。
では、どうぞ~。

アザク
俺はアザク。
ついこの間まで北の街、ウール街にいたんだ。
あそこで俺は剣術を習っていた。
それで…一応、世界を救ったことになっている。
よろしくな。

先生
アザクくんはこの世界に必要不可欠な精霊、
大地のエネルギーを
吸収する巨人を倒してくれたの。
野菜や動物達が生きられるのはそのおかげよ。

アザク
まぁ、俺1人で倒した訳じゃないんだがな。
他にもメンバーはいるのだが…
今は連絡がなく、まったく会えないんだ。
む…。

ある程度説明し終わった頃にアザクってやつが
俺のほうを見る。
その目は何だか怖かった。

アザク
なぁ、そこの男子…

指をさされる。
やはり何があるようだ。

アゼル
俺はアゼルだ。
それよりなんだ?

アザク
あぁ、アゼルでいいな?
お前から特別な力が感じられる。
精霊の力を自由に操れる力…。
精霊魔法を使えるはずだ。

アゼル
な、なぜわかるんだ?

アザク
詳しくはまた昼休みにでも話そう。

アゼル
あ、あぁ…。

すると、アザクはそのまま先生の所に戻った。

レオン
大丈夫か?
あいつ…結構威嚇?していたくね?

アゼル
わからんな…。

ミスト
ちょっと怖いかな…

レイナ
うぅ…こんな人だとは思わなかった…。

皆それぞれに感想を言っている。
確かにあいつはよくわからないし、
結構目つきが悪い。
さすが軍事の街にいたというか。

先生
それじゃあ、
アザクくんは窓際の一番後ろにお願いするわ。

アザク
わかりました。

アザクはこちらをちらっと見てから、
席に向かった。
かなり目を付けられているようだ。

俺は緊張で、
時間が経つのを遅く感じたのであった。